Act.32 / 勧善懲悪、今いづこ? 03.12.24
●休日の梅田の歩道橋は、様々な人々が行き交い、また、様々な表現をしております。
ある人は自作の絵葉書やステッカーを売り、ある人は似顔絵を描き、またある人は即興で詩を詠む。
アンプはおろか、ガソリン発電機まで持ち込んでセッティングに勤しむストリートミュージシャンもいる。
そして街頭アンケートと言う名目で「英会話に興味あり」に○を付けた人を言葉巧みに(色仕掛けを含む)近くのビルへ連行し、結果、多額のローンを組ますキャッチの女性が約8人。
なかなか帰してくれないんだよねぇ、こういうキャッチって。一度痛い目に遭ったからよくわかるけど。
そんな中、他とは一線を隔し、ただ座って道行く人に無言の訴えをする人がいた。その人は、西宮冷蔵の社長さんだった。
●明らかに周りの雰囲気とは違っていた。
周りの人々が「動」ならば、まさに「静」の状態だった。
ただ、その「静」の状態は、周りの「動」よりも強いものがあった。
●「もう3ヶ月以上やってます。」とは社長の弁。
2002年1月、とある企業の悪事を内部告発した。その結果、会社は廃業寸前にまで追い込まれてしまった。
事の過程は各種メディアですでに取り上げられていることなのでここでは割愛しますが、「『悪いこと』をしているのは見過ごせない!ここは世間に公表しなければ!」という【勧善懲悪】の精神で行ったことが、なんで潰されるのだろう?
●「食の安全とか言いながら、海外で製造された野菜に大量の農薬が残っていて問題になったでしょう?
でも、あれは向こうで加工・・・そう、ミックスベジタブルにしたら農薬とかの検査なしで日本に入ってくるんですよ。
向こうの人にとっちゃ、『日本人がこうしろ言うからこうするよ』ってもんで。
企業の方は、自分の家族に対して『ウチのは残留農薬が多いから買うな!』なんて言ってるんですよ。
そういうことを世間に言わないでいるのがおかしいんですよ。」
オイラなりに噛み砕いてみた文なので社長さんの真意と若干ズレるかもしれませんが、内部の人間にしかわからない様々なことがある。
それを告発・公表することは、世間にとって絶対に有益な話。
でも、企業には不利益だ。だから、企業の敵になるものは潰される。
え?公共の利益よりも企業の利益なの?
●「最近、世間が何かとオカシくなっているでしょ?親が子供を殺したり、子供が子供を殺したり。
アレだって、コンビニ弁当とか食品添加物とかでオカシくなったということだって考えられますよ。」
半ば冗談を交えながら社長は語ってくださった。
でも、最近の子供がおかしいということは間違いじゃないと思う。
●小生は子供の頃、トカゲを捕まえては解剖したり、カエルの尻に爆竹つめて爆破したり、バッタの足6本むしり取って「緑の柿の種」などというものすごく無邪気なことをしたもんだ。
だがそこから、命のなんたるかを学んだ気もする。
動かなくなった虫やカエルを見て、最後には「ゴメンネ」と呟いたことを今でも覚えている。
さて、最近のお子達はどうだろう?
一概に悪いとは言わないけども、少なからずビデオゲームの残虐シーンを見てもリセットボタンを押せば元に戻るという感覚なのだろう。
それに周りも周りだ。と、思う。
「叱るオトナ」が少ない。「怒る」のではなく「叱る」オトナが少ない。
●「怒る」と「叱る」をここで区別しなければならないだろう。
あえて辞書は引かないが、「怒る」はムカつく、感情的・一時的なもの、「叱る」は論理的に諭すことだと思う。
端から見れば「怒る」も「叱る」も同じように見えるかもしれない。
でも、それは違う。「怒る」ことは一方的のように思える。こうしろああしろ、有無を言わさぬ!そんな感がある。
「叱る」についてはどうだろう。「これがダメなのはどうしてか?」という『諭す』ところがあるのではなかろうか?
子供からしても「怒られる」と「叱られる」ではやはり印象は違うもんだし。
●昔、と言っても小生が子供の頃だから15年前のことだが、「悪いことは悪い」と言う、叱ってくれるオトナが近所に5〜6人はいた。
今になってみればそれはものすごく有り難かった。
ところが、今はどうだろう?
「下手なことを言うと何されるかわからない。」って言い、オトナが怖気づいてしまってはないだろうか。
なんで?
なんで、「悪いことは悪い」と言うことが危ない目に遭うの?
●少なくとも、小生と同じ20代半ばから上の世代の人間は「悪いことは悪い」と育てられてきた世代のはず。
なのに、それより下の世代にそれが言えないのだろう。
「バカの壁」から引用するところの、「個性」が強くなったからなのだろうか。
「個性」にかこつけた所で、「悪いことは悪い」はずなのに。
それは「個性」じゃなくて、ただの「屁理屈」なのでは?
●「お上に陳情申し上げる、言わば『忠臣蔵』なんですよ。時節柄そうですけど(笑)。
タイムスケジュールとしては、桜の咲く頃に。」
そう言う社長さんは多少疲れていらっしゃったが、「絶対負けない!」という目をされていた。
小生、非力ではありますが、社長さんのその心意気、陰ながら応援いたします。
●最後に。
小生、バイトの休憩時間中であったために、時計を見ながらお話を伺ったことを深くお詫びいたします。